小豆島の石丁場調査
*小豆島石丁場調査委員会調査団 橋詰茂団長よりご寄稿いただきました*
近年、パワースポットとして注目を浴びている重岩の頂部に刻印があることを知っていますか?ドローンによってそれが発見されました。そこで2021年8月、土庄・小豆島両町関係者と島内外の有識者を中心に、小豆島石丁場調査委員会が発足し、その下に調査団が組織され、新たに発見された箇所や旧石丁場跡の詳細調査を実施することとしました。
小豆島には各地に石丁場跡が存在していますが、その内の加藤と藤堂氏の拓いた石丁場を調査することにしました。加藤氏が拓いた小瀬石丁場の重岩周辺から調査を開始しました。山中を踏査すると、矢穴跡が縦横何列にもわたって見られる巨石を発見、またその奥地で刻印石を発見するなど新たな事実を確認できました。その場所は江戸期の文献に記載されながら、所在が不明な石丁場の一つと確認出来ます。
福田の小島では島の頂部に巨石があり、その上部に矢穴が長さ2メートルにわたり掘られているものを確認。福田地区は藤堂家の石丁場であり、小島の石丁場が藤堂家のものと一致するかどうかを検証していく予定です。
また、小瀬丁場の海岸線の調査ではサップ(SUP:Stand Up Paddle boad)とドローンを用いた新しい調査方法をとり入れ実施しました。まず水中ドローンを用いて海中に沈んだ残石を探索、巨石の底部に残る矢穴跡を発見、海岸線の再調査の重要性が問われました。サップにはレーダーを装備し、空中ドローンからの情報を元に、水中の状況を探査しながら石の分布を確認していきます。その結果、船の石の運送用の突堤と推定できる施設跡を発見するなど、多くの成果をあげてきました。
このような調査は調査員だけでなく、地元の協力者や徳島文理大学学生たちの協力があって初めて成り立つものです。二年間にわたる調査の成果を島民に還元する目的で、「日本遺産の石の島、新たな発見と保存をめざして!」のタイトルで、「小豆島石のシンポジウム2023」を実施しました。島内外から約100人の参加をみました。
「石の島」として日本遺産に認定された小豆島、多くの人たちの協力のもと、新たな石丁場の発見を目指し、調査に励んでいます。